2/26に自社株買いを発表し、株価が急騰した川岸工業。それでもなお正味流動資産が時価総額を上回るネットネット株であり、割安水準であると考えています。今回はそんな川岸工業について考察を行います。
1906年創業の鉄骨専業メーカー。超高層ビル向けの鉄骨製造を強みとしており、東京スカイツリーや麻布台ヒルズ、新国立競技場など大規模プロジェクトへの納入実績を多く持ちます。
高層建築物などで要求される、国土交通大臣認定「Sグレード」を有する業界最優位の技術力。Sグレードを有するのは国内2000を超える工場の中でわずか1%。
新規参入が多い業界では無いので、この希少性は長く生き残っていく意味で安心材料!
海外売上比率は10%未満のため非公表。基本は国内依存のビジネスと考えて良さそうです。
2017年前後はオリンピック前の建設需要の高まりもあり好業績。その後は一服感があるも、比較的安定的に推移しています。
よっぽどの不況では無い限り、技術力の高さからも一定の業績はキープできるのでは?
2024/02/26付で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表。2024年度(9月決算)からの中期経営計画にてROEを向上させていく方針。同時に自社株買いを発表しました。
中期経営計画の方針としてはIR活動の強化によるPBR向上、株主還元強化などを方針に掲げています。具体策はこれから公表される見込み。
中経がいつ公表されるかは未定ですが、万年割安株だけに改善による伸び代は大きいと思います!
無借金経営で自己資本比率は80%超。流動比率も高く、財務は全く問題ありません。
むしろ過剰資本をどこに振り向けるかが鍵!
将来の事業展開に必要な内部留保を勘案しつつ、安定配当を維持向上させることを基本方針としています。
前述の通り、24/9期以降は株主還元を強化していく方針。具体的な数値目標として配当性向30%以上を掲げていますが、正確な内容は中経の発表待ち。自社株買いも適宜検討するとしています。
PBR1倍を目指すのであればもっと大胆な策が出てくることに期待したいですね。
PERは今期の利益予想次第でブレるので比較が難しいですが、PBR見てわかる通り業界全体で割安に評価されていることが分かります。
成長期待の低さが要因と見られますが、どこかが株主還元強化とかで抜け出せば一気に他社も動く…?
ネットネット株については以下をご参照ください。
直近の決算短信と2024/02/27時点の時価総額でネットネット株指数を計算すると以下となります。
※1億円以下切り捨て
ネットネット株指数は0.7と基準の1を大きく下回っており、かなり割安で評価されていることが分かります。
これがまだまだ割安だと考えている理由です。
2024年2月後半にかけて株価が大幅に上昇。理由としては以下が考えられます。
2024/02/26に5億円を上限とした自社株買いを行うことを公表。株価押し上げの期待から株価が上昇。
自社株買いと同時にROE(PBR)向上に向けて中期経営計画を制定することを公表。もともと超割安銘柄なだけに、中経の内容次第では上昇余地も大きいことから株価が上昇したと考えられます。