米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が購入している業界として注目を集めている総合商社業界。中でも累進配当を宣言して注目を集める、「丸紅」を他総合商社と比較することで考察していきます。
丸紅への投資を検討中の方や、総合商社への投資を検討中の方はぜひご覧ください!
日米高配当株投資を中心に投資歴は5年目を迎え、年間配当金は30万円オーバー。保有銘柄の評価益はプラス40%超。
数字(業績)だけの分析だけではなく、コンサルの経験も活かした事業分析や考えうるリスクなど、独自の視点で解説してます!
日本の5大総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)の一角。1858年に伊藤忠兵衛が創業したとされており、実は伊藤忠商事とは同根となります。ただ、今では伊藤忠商事とは資本関係は一切ありません。
川上から川下までと言われるように、さまざまな事業を手掛けています。中でも丸紅の特徴は、食料(穀物)、電力発電、金属(銅)に強みを有します。
穀物取扱量は総合商社トップクラス。米国およびブラジルで集荷した穀物を、アジアを中心とした全世界へ販売を行っています。穀物以外にも、アメリカで牛肉、中国で鶏肉の処理・加工・販売のトレーディングを展開。
2002年に国内電気事業に参入。オフィスやレジャー施設、学校、および電力会社向けに電気の卸も行っています。主な電源構成は、天然ガス(28%)、太陽光(18%)、バイオマス(15%)その他水力、風力など、再生エネルギーも積極展開。
いわゆる資源ビジネスと言われる領域で、海外に銅や鉄鉱石、原料炭の資源権益を有します。チリの銅鉱山事業をはじめ、米州最大のアルミニウム製錬所、豪州ロイヒル鉄鉱山などが代表的。
今期予想は非公表も、上期時点では前年同期比で減収減益。22/3期、23/3期は資源価格の高騰により業績も急拡大。売上高は10兆円に近づきます。
20/3期は巨額の減損損失で赤字に転落。石油・ガス開発事業や、2013年に買収した米ガビロンの穀物事業で巨額の減損損失を計上。米ガビロン社の買収は、当時の年間純利益を大きく超える額で注目を集めるも度々の損失を問題視し、2022年に売却を行いました。穀物メジャーを目指す重要な事業と位置付けられていただけに大きな話題を呼びました。
今後は資源の割合を減らし、非資源の収益性向上に注力していくとしています。
自己資本比率は全業界比では低めの水準ですが、総合商社の中では至って平均の水準です。流動比率も134%と、基準の120%を上回っており可もなく不可もなくといったところでしょうか。巨額の買収も頻繁に行われる業界だけに注目。
EPS前期比マイナス予想の今期も増配の予想。2024年度(25/3期)までは累進配当を宣言しており、期間内では減配をしないものとしています。
そのため来期までは減配の心配はいらず。その先は資源価格次第といった側面が強いのではないでしょうか。
年初来で日経平均及び5大総合商社とパフォーマンス比較しているのが上図です。米著名投資家ウォーレン・バフェットが買い増していることでも注目を集めた総合商社業界。丸紅も業界同様に株価が大きく躍進していることが分かります。
総合商社比では二番目に良いパフォーマンスですが、これはどこで切り取るか次第でも変わってくるので、業界全体で好調だったことが分かります。ただ、ここ数ヶ月は一服感ありますね。
営業利益額ベースだと規模感は最も小さいです。前期は資源価格高騰の影響もあり、総合商社業界全体で好調。総合商社の場合、事業ポートフォリオに占める資源ビジネスの割合で大きく変わってきます。
ドル建てでビジネスを行う業界ですので、昨今の円安は各社業績を後押しする材料になっており、近年でも高い業績になっています。
2021年度の純利益ベースで資源/非資源の割合をグラフ化したのが上図です。三井物産は7割近くを資源が占めており、資源への依存度が高いことが分かります。丸紅はちょうど半々くらいの立ち位置。今後は非資源の収益性を高めていきたいとしています。
各社の営業利益率の推移を示しているのが上図です。丸紅は全体的に利益率は低いものの、ボラティリティが少なく安定しているとも言えそうです。