23/12期は赤字に転落も、石油化学事業の分離と中長期的な半導体事業比率の拡大を掲げ、株価上昇中のレゾナック・ホールディングス。半導体材料で高いシェアを誇る注目の銘柄を考察していきます。
1939年設立の大手総合化学メーカー。旧社名は「昭和電工」であり、旧昭和電工と旧日立化成の実質統合により、2023年から持株会社に移行。社名をレゾナック・ホールディングスに変更しています。
半導体の前工程、後工程と幅広く提供できる半導体材料を誇ります。中でも後工程が強く、高いシェアを誇っています。具体的にどこで活躍しているかは以下の投稿をご確認ください。
23/12期決算発表のタイミングで石油化学事業の分離・上場の検討を発表。得意とする半導体材料に経営資源を集中し、企業価値向上に繋げていく方針で、2030年12月期に半導体事業の売上比率を4割近く(現在は2割弱)に高めていくとしています。
公式の発表はこちらをご覧ください。
コングロマリッド・ディスカウントの解消にも繋がり、市場の評価は上々です。
海外比率は6割弱。中でもアジア・中国での売上比率が高くなっています。
2021年には日立化成の連結決算化に伴い大幅増収。ここ数年は原材料価格の上昇が重く、23年は営業赤字に転落しています。
事業別にROICを意識し、全社でROIC経営を浸透していくとしています。ただ、成長投資や有利子負債の返済などを必要とするフェーズのため、株主還元の強化などは見込みにくい状況です。
不採算事業の分離や成長事業への積極投資など、企業価値向上に向けた投資には積極的です。
2020/12期に9600億円で日立化成をTOBを行ったため、財務指標はそのタイミングで大幅に悪化。なお有利子負債は1兆円ほどあるため、リスクはある財務状況です。
ただ、2020年を除いたフリーキャッシュフローは黒字続きで安定感抜群です。
各年度の収益状況及び内部留保を勘案し、決定することを基本としています。配当性向などの定量的な目安は示していません。
統合以降は自社株買いも行っていません。配当目的の投資向きとは言えません。
2023年は原材料価格の上昇により化学メーカー全体で収益悪化のため、予想PERでの判断は難しいです。PBRベースで見ると、半導体比率が高いことからも業績以上に市場評価が高く、割安とは言えません。
ただ、半導体装置メーカーなんかと比較すると、とんでもなく株価が上がってるとも言えません。
直近1年は日経平均をアウトパフォーム。石化事業の分離(上場)、半導体事業への注力を公表したことや、半導体全体が活況な2024年に入ってから株価が大きく上昇していることが分かります。
AIブームにより半導体関連が全体的に上昇傾向。仮にAIバブルが崩壊するようなことがあれば、同社にも影響を及ぼすため注意が必要です。
また、前述の通り積極投資により有利子負債が膨らんでいます。金利の上昇が返済利子の上昇につながるため、こちらも注意が必要です。