2024年6月に株価急落の塩野義製薬。開発していた肥満症治療薬の試験結果が良くなかったことがネガティブサプライズとなったことが要因です。
そんな塩野義製薬は割安と言えるのか、将来性と合わせて考察していきます。
大阪府大阪市に本社を構える、日本の中堅製薬メーカー。2023年版の製薬メーカー売上高ランキングでは第10位に位置します。感染症の分野に強く、抗HIV薬やインフルエンザ薬、コロナ治療薬なども手掛けています。
医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントで展開しています。
一般用医薬品と医療用医薬品(処方箋薬)を手掛けますが、後者の割合が圧倒的に高いです
海外比率は5割強。中でも欧州比率が高く、うち9割以上がイギリスでの売上となります。
英アストラゼネカなどからの薬の特許権によるロイヤリティ収入が大きな収益源となっています
最小限の製造拠点で創薬に注力していることから原価が非常に低く、高収益体制。柱の抗HIV薬が堅調に増えていることや、国内インフルエンザ薬も伸びており微増ながら増収増益となっています。
ただ、好調の抗HIV薬の特許は2027年から2028年頃に切れるとされており、特許切れはリスクとなります
利益率の割にはROEはやや控えめ。長年の利益が積み重なった結果、金融資産が積み上がっており、資本効率はイマイチ。溜まったキャッシュを今後どう活用していくかが注目です。
有利子負債以上に手元の現金を有しており実質無借金経営となります。いずれの指標も水準が高く、財務は全く問題ありません。
フリーCFも毎年黒字で内部留保が貯まる一方!他社に比べて研究開発費は低く、過剰資本との見方も
2023年6月に公表した中期経営計画においてDOE4%を目標としており、企業価値の成長に応じて安定的に高めていくことを目指しています。
キャッシュリッチなだけに自社株買いも毎年のように行っており、株主還元は安定して行なっています
2024/06/07を起点とした直近1年のパフォーマンスが上図の通り。年度末の2024年3月末に向けて株価は上昇も、4月以降は一転して下落。さらに6月には急落しており、年初来で9%を超える下落となっています。
これまでのPERは12〜13倍で推移していましたが、現時点でPERは10倍台と過去推移から見ると割安水準と言えます
開発中の肥満症治療薬の試験速報が明らかになりましたが、その結果が期待を裏切る結果であったことがネガティブインパクト視され、1日で12.91%の大幅下落となっています。
前述の通り、主力の抗HIV薬に代わる収益源として期待が集まっているだけにインパクトが大きかったと考えられます