24/3期通期決算の内容を受けて、一時ストップ安になるなど年初来安値更新のスクウェア・エニックスHD。一部の主要コンテンツの開発を中止したことで、今後の業績に懸念が広がったことが理由だと考えられます。
今回はそんなスクウェア・エニックスの企業概要や過去の業績を考察していきます。
ゲームソフトの開発・販売を行う「スクウェア・エニックス」を中核子会社に据える持株会社。2003年にゲームメーカーのスクウェアとエニックスの合併により誕生したスクウェア・エニックスが2008年に持株会社化しています。
ドラゴンクエスト(ドラクエ)やファイナル・ファンタジー(FF)を軸に多くのソフトを有しています。
アミューズメント施設の運営などを行う「タイトー」も子会社の一つになります
海外比率は3割弱。国内のみならず、北米を中心に海外でも事業を展開しており、昨今の円安は業績にプラスに働いています。
24/3期は増益予想から一転して減益に。開発費の償却負担やコンテンツ制作勘定の評価損が前期比で増加したことなどによるものです。
営業益の減少に加え、一部の主要コンテンツの開発を中止したことによる特別損失もあり、最終益は前期比69%減に
24/3期の低ROEを課題視しており、2024年5月に発表した中期経営計画ではROE10%以上を目指して資本効率を意識した経営にシフトするとしています。稼いだ営業CFに加え、バランスシートからも充当して株主還元やM&A・投資に充てていく方針です。
いずれも高水準であり、財務の健全性は高いです。特に、有利子負債は抱えておらず、総資産4000億円強に対して現金等を2000億円以上有するキャッシュリッチっぷりが特徴の銘柄です。
安定して数百億円の黒字を続けているフリーCFがキャッシュリッチの所以です
業績連動と安定還元の最適なバランスを取る方針であり、配当性向の目安は30%としています。さらに機動的な自己株式取得を可能とする枠を設定するなど、株主還元を強化。
資本政策としてキャピタル・アロケーションのあり方を見直し、多額の現預金を充てていく方針です
2024/05/16を起点とした直近1年のパフォーマンスは上図の通り。1年前から30%弱の下落となっており、2024年も5月の通期決算内容を受けて株価がストップ安になるなど、年初来安値をつけています。
24/3期の業績進捗が著しくなかったことから、1年間を通じて低調なパフォーマンスです
2024年5月の決算発表を受けて株価は一時ストップ安。業績の悪化に加え、一部の主要コンテンツの開発を中止し特別損失を経常したことで、今後の業績に不安が広がったことで売りが膨らんでいます。
ゲームメーカーはソフトの開発次第で業績が上振れ・下振れすることから、開発中止で懸念が広がっています