中長期で業績・配当ともに安定しており、配当目的の長期投資には打ってつけの住友倉庫。2024年問題もあり、注目が集まっている銘柄への投資妙味を考察していきます。
1899年創業、住友グループに属する総合物流企業。社名にある倉庫業だけではなく、港湾運送、国際輸送業や傘下の遠州トラックによる一般貨物輸送まで総合的に物流事業を展開しています。
アメリカを中心に海外売上比率は2割強。タイやヨーロッパにおける倉庫建設を推進するなど、海外事業の拡大を進めます。
22〜23/3期にかけて業績急上昇。コロナ禍に端を発するサプライチェーンの混乱が長期化したことにより海上運賃が上がったことが業績の急拡大に寄与しています。
22/3期、23/3期は一時的なものとして、10年以上安定した業績であることがわかりますね。
ROEの目標は7%とやや低めな気もしますが、政策保有株式の縮減やIR資料でのキャッシュアロケーションの説明など、IR活動は積極的に実践している印象です。
2期連続でフリーキャッシュフローは大幅黒字。自己資本比率や流動比率も高く、有利子負債比率も許容範囲内であり、財務は健全と考えられます。
各事業年度の収益力の向上を考慮した上で、株主還元を実施する方針。24/3期からは一株配当金を23/3期同等額の100円を下限とし、DOE3.5〜4.0%を目安としています。
23/3期から24/3期にかけての減益幅が最も多いため、PERは約17倍と高くなっていますが、特別割高感はない印象です。ただ、特別割安感もありません。
直近1年のパフォーマンスが上図です。日経平均比、競合比いずれもアンダーパフォーム。24/3期にかけての減益幅が広く、中間決算のタイミングで下方修正をしたことからも株価が軟調に推移しています。
ただ、長期で見ると最高値圏にありパフォーマンスは決して悪いとも言えません。
「2024年問題」と呼ばれるように2024年4月以降、運送ドライバーの残業規制などが入ることによるドライバー不足が懸念されます。仕組み化していくためのDX投資などが必要になる可能性があり、その投資が一時的に重しになる可能性があります。
ただ、中長期で考えて需要が無くなることは考えにくいので、今後も底堅く需要は推移するのではないでしょうか。