製造業全体の営業利益率が約4%と言われる中、約20%と高水準を誇るトーカロ。今後もこれまで通りに成長が続けるために、一つリスクがあると考えています。今回の記事では、そもそもトーカロはどのような企業なのか、どのようなリスクがあるのかに関してまとめています。
日米高配当株投資を中心に投資歴は5年目を迎え、年間配当金は30万円オーバー。保有銘柄の評価益はプラス40%超。
数字(業績)だけの分析だけではなく、コンサル時代の経験も活かした事業分析や考えうるリスクなど、独自の視点で解説してます!
1951年設立、兵庫県神戸市に本社を構える加工メーカー。「溶射」と呼ばれる、金属やセラミックスなどの微粒子を吹きかける工法で、世界トップクラスの技術力と実績を誇ります。微粒子を吹きかけることで、対象物の耐熱性や耐摩耗性に変化を与えることを「表面改質」というそうです。
半導体製造装置の部品や、自動車部品、航空機のエンジンなど、あらゆる業種において、トーカロの溶射技術が活用されています。
競合比でも圧倒的なシェアを誇り、国内外に「溶射」を中心に展開。海外比率は約22%となります。
溶射加工の中の業種割合を見ると、「半導体・FPD」が圧倒的に高いことがわかります。この辺がリスクとも繋がりますので、詳細は後述します。
今期は減収減益予想。産業機械向けや鉄鋼向けは順調も、高利益率の半導体・FPD向けが不調。半導体業界全体で調整局面を迎えていることが大きく影響。ただ、全体的に右肩上がりに成長しています。
シリコンサイクルの如く、4年に1回利益率落ちてるのが分かりますね。
ROEは8%が一つの目安とされますが、減益のタイミングでも10%超えており高水準。下図の通り、年々半導体・FPDの比率は上がっており、影響度が大きくなってるのが分かりますね。
自己資本比率や約70%と高い水準をキープしており、有利子負債比率も低い。保有している現金よりも少ない金額の有利子負債額(28億円)であり、実質無借金状態です。
前回の減益時(20/3期)に減配あり。今期は前期同様の50円とする予定。配当性向は50%を目安とする方針であり、今期予想通りだと51.7%での着地となります。今後更なる安定配当には、半導体市況の回復が欠かせない。
半導体への依存度が高いことは分かったけど、今後市場が伸びていけば問題ないとも感じます。ただ、トーカロの場合、業界依存だけではないのがリスクと言えそうです。
半導体への依存度が高いことは前述の通りですが、なかでも主要1社の影響度が非常に大きいです。それが半導体製造装置国内No.1の東京エレクトロンです。23/3期は売上全体に占める東京エレクトロンの割合が、33.1%と約3分の1もあります。
このまま受注が続けば良いですが、以下のようなリスクが考えられます。
などが考えられます。日々進化する半導体業界だけに、今までとずっと同じということはないでしょうから、やはり一社への依存度が高いことはリスクと言えそうです。
株価は上図の通りです。日経平均と年初来で並べてますが、ほぼ同じ動きですね。
※いずれも調査時点(2023/10/12)
配当利回りも基準の3.5%を超えており、過去の業績も安定してます。前述のリスクを認識した上であれば、高配当株投資として「あり」だと考えています。