配当利回り4%の高配当銘柄。ただ、主力は自動車の内燃機関向け部品のため、EV化による需要減少が懸念されるイーグル工業。一方で中期経営計画でのDOE採用を公表するなど、安定配当には期待が持てる銘柄の考察を行なっていきます。
1964年設立、メカニカルシールが主力の機械部品メーカー。回転機器内部の液体の漏れを防ぐメカニカルシールにおいては国内首位級のシェアを誇ります。
日本オイルシール(現:NOK)がメカニカルシールの開発に着手し設立された企業であり、現在もNOKの傘下に属しています。
「シール」というのは液体の漏れを防ぐ部品呼称のこと。
主力の自動車向けは内燃機関に使われる部品が多いことから、EV化による需要縮小が懸念。逆に需要拡大が見込める半導体向けなどで設備投資を加速させる計画です。
2024年2月に打ち上げ成功した日本の新型基幹ロケット「H3」にも同社の部品は搭載されており、航空・宇宙分野での伸長にも期待。
海外売上比率は約6割。
サプライチェーンの混乱により自動車生産減少を21/3期にかけて受けるも回復傾向。ただ、24/3期は半導体業界向け事業が減少する見通しであり、減益予想となります。
トヨタをはじめとする自動車業界が活況なので減益は以外ですが、半導体向けの利益率が高いと考えられます。
資本コストを上回る収益性の達成を目指し、ROE10%以上、ROIC8%以上を目標に。統合報告書などは出してないが、株主還元などは着実に強化しています。
いずれの指標も及第点の水準であり、財務の懸念点は特にありません。
国際的優良企業を目指し、安定した配当を継続することを基本方針としています。また、23/3期スタートの中期経営計画ではDOE2.5%以上、年間配当70円の配当を継続するとのことで実質的累進的な配当政策を公表しています。
同じく中期経営計画内(24/3期〜26/3期)では総額180億円を目安とする株主還元を実施するとしており、23/3期も自社株買いも行なっています。
25/3期、26/3期も中期経営計画内は自社株買いに期待できそうです。
同じくシール部品を扱う日本ピラー工業と比較すると、PBRは大きく差を開けられており割安水準です。同社とは半導体事業比率の差が市場評価の差につながってるものと考えられます。
直近1年は日経平均とほぼ同じパフォーマンス。前半は好決算と24/3期も増益予想だったことから好調でしたが、後半にかけて一転下方修正により減益予想となったとを受けて軟調な展開となっています。
EV化による内燃機関向け部品の需要低下が喫緊のリスクであると考えられます。もちろん、同社もそれを理解しており、半導体業界向けや原子力・防衛関連市場などへの投資を進めており、その進捗に注目する必要があります。
また、四季報によると主要取引先は豊田自動織機。昨今の不正問題の影響を受けて稼働を止めているだけに、短期的にはこれらの影響を受ける可能性があると考えられます。