直近1年低パフォーマンスながら3月末に株価急騰の小糸製作所。中期経営計画で株主還元の強化等を発表したことによるものです。
では、この流れは続くのか?小糸製作所の過去業績などを振り返りながら考察していきます。
2015年に創業100周年を迎えた自動車用ランプのリーディングカンパニー。自動車用ヘッドランプは世界シェア約20%を有するグローバルNo.1企業です。
筆頭株主はトヨタ自動車で株式の20%を持ちます。自動車用ランプの販売もトヨタ向けが主力となります。
自動車照明器、航空機部品などの製造・販売を行なっていますが、製品によるセグメント分けは行なっていません。
電動化・自動運転など次世代自動車に向けて、LiDARをはじめとするセンシング、スマート交通インフラなど新規事業にも挑戦しています。
後述しますが利益率も低下傾向のため、新たな収益源を目指していると考えられます。
海外比率は6割強。世界5拠点(日本、北米、欧州、中国、アジア)に開発拠点を持っており、特に主力の米国ではシリコンバレーにラボを設立し、先端技術の収集に取り組んでいます。
中国の販売不振の影響はあるものの、半導体不足による減産影響が縮小し自動車生産台数が堅調に推移していることから24/3期は増収増益となる見込みです。
ただ、19/3期をピークに利益率は低下傾向であり、競争環境が厳しくなっている?
2024年3月28日開催の取締役会にて第1次中期経営計画の採択を決議。5か年で2000億円の株主還元を目指すなど、2026年度ROE・ROIC9%を目指していくとしています。
株価上昇の大きな要因に!
有利子負債以上に手元の現金を有しており実質無借金経営です。いずれの指標も高水準であり、財務は良好。
業績及び経営環境等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配分を基本としています。2024年度〜2026年度の中期経営計画では連結配当性向40%以上を目安に。
24〜28年度の5か年で2000億円株主還元を目指すとしており、24/3期も自社株買いを行なっています。
直近1年は日経平均を大きくアンダーパフォームしており、年間通じてマイナスとなります。競争環境の厳しさから利益率が低下傾向であることから、将来性を悲観的に評価されていると考えられます。
PER/PBRが割安とも言えないことが調整している一因とも言えます。
2024年3末に中期経営計画を発表したことで株価が大きく上昇。今後、株主還元が強化されるとの期待感から株価が大きく上昇しています。
ただ、もともと割安ではないのでこの影響は限定的かなというのが個人的な意見。あくまで基本は業績次第かなと考えています。