割安を示す「ネットネット株」の一つでもあるクニミネ工業。ただ、ここ数年株主還元姿勢に変化の兆しもあり、配当利回りも約4%の高配当銘柄です。今回はそんなクニミネ工業を考察していきます。
1943年創業、貴重な地下資源とされる「ベントナイト(特殊粘土鉱物」の採掘から製造・販売を行う企業。同鉱物の開発を行う企業は少なく、ニッチトップ企業となります。
主力のベントナイトは鋳物用が多く、主に自動車部品の製造用(鋳型の材料の一つ)に使われます。そのため、自動車産業の景気動向は同社の業績に影響を及ぼします。
ベントナイトは国内での採掘に加え、海外から調達を行っています。そのため、円安は調達価格の上昇に繋がりマイナス効果。
海外売上比率は10%未満のため、具体的な数値は公表していません。今後は海外での市場拡大を目指します。
自動車生産台数の回復により売上は上昇傾向も、足元では円高による調達コスト上昇影響で利益率が低下。土木関連の復興関連事業も売上上昇要因。
26/3期を最終とする中期経営計画ではROE目標を6.4%に設定。その他、資本政策に関する記述などは無く、企業価値向上策には積極的ではありません。
過去の推移から考えると、ROEの目標もかなり保守的といえます。
無借金経営で流動比率も目安の120%を大きく上回っており、財務はいたって健全です。
むしろ資本過多なのでどうお金を使っていくかが課題です。
成長投資と株主還元のバランスを配慮しつつ、安定的な配当を継続することを基本方針としています。目安としては配当性向30%を掲げています。
23/3期は配当性向の目安を大幅にオーバーするも配当は維持しており、姿勢の変化を感じますね。
20/3期、23/3期と数億から十数億円規模の自社株買いを行っています。
24/3期の予想が低いためPERは高くなっていますが、PBR基準で見ると業界全体的に低評価であることがわかります。
ネットネット株については以下をご参照ください。
直近の決算短信と2024/02/29時点の時価総額でネットネット株指数を計算すると以下となります。
※1億円以下切り捨て
正味流動資産が時価総額の2/3以上を占めており、割安水準のネットネット株であることがわかります。
直近一年は日経平均をアンダーパフォーム。円安がデメリットに働くだけにここ数年は厳しい展開が続いています。
主力のベントナイトは自動車産業向けが多く、EVシフトによる部品点数の減少や新たな工法の確立はリスクであると考えられます。また、前述の通り円安は業績にマイナスのため、為替の動向を注視していく必要があります。
ここ数年は良い材料がありませんが、円高進行するようであれば注目したい銘柄です!