株価急騰で複数回のストップ高を記録している三井E&S。その理由は度重なる上方修正と米国策によるクレーン販売の上昇期待にあります。では、将来性はどうなのかなどを踏まえ、三井E&Sを考察していきます。
1937年設立の三井グループに属する重工業メーカー。元は三井物産の造船部門として創業し、後に独立して設立された企業。2021年には造船部門から撤退し船用エンジンの設計サービスなどを手に展開しています。
アジアを中心に海外売上比率は3割強となります。
事業再生計画に基づく、子会社の事業譲渡などを行った関係で売上は急減。23/3期以降は2020年前後に計上した引当金の戻入れを行ったことにより収益性が改善しています。
あくまで簿記上の修正なので、実力上のものとは言い難いです。
業績の持ち直しが先決であり、企業価値向上策に関する言及はほとんどありません。
有利子負債比率は100%を超えて高く、流動比率も100%を下回っており財務は不安があります。自己資本比率は持ち直し傾向ですが、2期連続でフリーキャッシュフローも赤字のため、資本政策の強化などは期待しにくいです。
事業投資や財務基盤を強化しつつ、株主への利益還元を充実させていくことを基本方針としています。数年前まで5期連続無配となっています。
前述の通り、まずは財務を固めていく必要があるため、あまり株主還元には期待できません。
直近1年は日経平均を大きくアウトパフォーム。元からプラスでしたが、年始以降複数回のストップ高もあり大きく株価が上昇。連続しての業績上方修正や、アメリカでのクレーン販売が加速するとの思惑から株価が急騰しています。
24/3期は11月、12月、2月と相次いで業績の上方修正を発表。主に円安による業績の上乗せや、過去に計上していた引当金の戻入れ(取り崩し)を行ったことなどが要因です。
これは業績の根本的な回復ではないので、過度な期待は禁物。
2024年2月バイデン大統領が港湾施設や設備に関するセキュリティ対策を強化する大統領令を発出。クレーンに中国製が増えていることを懸念しており、同社の米子会社で政府支援を踏まえクレーンの米国内生産を再開する方針を示しました。
物流システムの売上に占める比率は14%と高くありませんが、こちらは期待ですね。
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