直近1年で株価約3倍に上昇の三菱重工。好調な業績、防衛関連銘柄としての注目、株式分割などが株価上昇の主な理由となります。そんな同社への投資妙味について、過去の業績などを振り返りながら考察していきます。
三菱グループ(旧三菱財閥)に属する重工業メーカー。三菱UFJ銀行、三菱商事とともに三菱グループの「御三家」に位置します。
川崎重工業、IHIとともに日本の三代重工業の一角であり、売上規模は首位。世界トップシェアの事業も有しています。
火力発電で使われるガスタービンの製造メーカーとして、三菱重工業を始め、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独シーメンスが世界三強。中でも、三菱重工業はガスタービン世界市場(出力ベース)でトップシェアを誇ります。
カーボンニュートラルの観点より、化石燃料を用いた燃焼方法から水素を用いた燃焼方法への移行が注目。その水素を用いた燃焼技術で三菱重工業は先を行っており、今後の大きなビジネスチャンスとなる可能性が高く注目です。
フォークリフト事業では2010年代に旧ニチユやユニキャリアなど、国内競合企業を相次いで買収。同業界では豊田自動織機、キオン(ドイツ)に次いで世界シェア3位を誇ります。
直近では、小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退が議論を呼んだが、その他航空宇宙分野におけるリーディングカンパニーであるボーイング社とパートナーシップを結ぶ。
海外比率は約6割。主に物流・冷熱・ドライブシステムの海外比率が高く、7割以上を占めます。その他事業もアメリカやアジアを中心に満遍なく世界に展開。昨今の円安も好業績につながっています。
航空機エンジンの不具合対応で損失生じるも、今期は最終利益で過去最高益の予想。フォークリフトの値上げ効果や、円安などが業績を押し上げる要因になっているとしています。
企業価値向上に向けたROAの向上を一つの目安にしており、23/3期末の3.36%から6%まで引き上げ、さらにはROE11%を目指すとしています。
プロジェクトの単位が大きいだけに、アップダウンが結構激しいのは重工業メーカーの宿命です。ただ、他社よりは安定的!
自己資本比率は多くの設備投資を要する産業だけに業界全体で低調。ただ、同業他社比では財務指標はいずれの指標も高く、及第点と言えます。
長期では上昇トレンドですが、業績に応じてアップダウンがある銘柄です。安定して配当を貰いたいという方には不向きと言えます。
直近1年で株価は約3倍に伸長。日経平均を大きくアウトパフォームしており、上場来最高値の更新が続いてますが、主な材料は以下の通りです。
24/3期予想は10期ぶり最高益予想を見込んでおり、期初から業績への期待から株価上昇。その後も四半期決算ごとに順調な決算を発表したことや、将来の売上につながる受注も堅調であることが伝わり、年間を通じて好調に推移しています。
防衛関連予算を増額させるとの思惑から、防衛関連株である三菱重工に注目が集まったことも一因と考えられます。特に2023年11月に行われた防衛事業説明会の内容や「政府がパトリオットを米国に輸出」などのニュースに反応し、株価が大きく上昇しています。
2024/3/27を基準日に株式を10分割することを発表。株価が下がったことで個人投資家も買いやすくなり、足元では株価が上昇しています。
これらの要素が重なり合って、上場来高値を大きく更新しています。