2023年バフェット銘柄としても注目を集めている総合商社界隈。中でも時価総額、純利益ともにNo.1に位置するのが三菱商事。今回はそんな三菱商事に投資する上で知っておきたい情報を考察していきます。
5大商社(三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、伊藤忠商事)の一角にあたる三菱グループの総合商社。三菱UFJ銀行、三菱重工との3社で三菱グループ御三家に数えられます。傘下に約1700の関係会社を有しており、10のセグメントで事業を展開しています。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が投資している銘柄としても注目を集めている企業です。
従来はトレーディングが商社のビジネスでしたが、現状は事業投資型のビジネスへ変革しています。事業投資を通じて会社の価値を高め、付加価値が加わったところで売却。また、新たな会社へ投資をしながらポートフォリオの入れ替えを行なっていきます。
中核事業は金属資源事業で、中でも原料炭(製鉄用石炭)事業。ただ、脱炭素化の流れもあり、銅事業を2本目の収益の柱として注力していくとしています。持分銅生産量は国内最大規模で、世界13位前後となる見込み。
2020年に中部電力と蘭電力会社のエネコを買収し、再生エネルギー電力の販売や風力発電事業のノウハウを入手。そのノウハウを活かし、21年末に日本で実施された洋上風力の促進地域をめぐる事業権入札で3海域全てを落札。エネルギーの転換に注力しています。
ドルベースで1円の円安になると、最終利益に50億円の増益影響があるとしています。逆も然りですので、為替のインパクトはかなり大きいと言えます。
原料炭・ガス市況など、資源価格の高騰が業績の拡大に大きく寄与。短期的には資源ビジネスの市況価格に大きく左右されますが、自動車・モビリティ事業や電力ソリューション事業などの非事業も伸びてきています。
前期資源高の反動の影響もあり、減収減益の見込み。原料炭から銅への移行など、ポートフォリオの変革を進めています。
適切な資産の入れ替えを通じて、中長期的な高利回りを実現していくとし、ROEは二桁水準をキープしていくとしています。4年に1度くらいのペースで2000〜3000億円規模の自社株買いを実施しています。
自己資本比率や有利子負債比率は業界平均の水準。外部格付でAを維持するなど外部からも評価を受けていますが、特筆すべきはキャッシュフロー。営業CFはもちろんのこと、フリーCFも1ー年近く黒字の状況が続いています。
従来は総還元性向30〜40%程度を目処としていましたが、2023年度から総還元性向40%程度を目安と株主還元方針を変更。40%を目安にしつつ、累進配当とする方針を公表しています。
2024/1/1付で1株を3株に分ける株式分割を実施すると発表。個人投資家が買いやすいように1単元(100株)の購入価格を50万円未満に引き下げを要請する、東京証券取引所に応えた形です。
バフェット銘柄として注目を集めたことで、株価が大きく上昇。PBRも1倍を上回っており、5大商社中で唯一時価総額10兆円を超えています。バフェットが買い始めた頃に比べると、だいぶPER・PBRともに高くなっていますね。
前述の通り、バフェット銘柄として注目を集めていることや、前期の好調な業績を受けて年初来から日経平均を大きくアウトパフォーム。総合商社全体で株価が高くなっていることが分かります。
短期的な業績は資源価格に左右されます。一方で、中長期的には銅事業や再生エネルギーなど、今進めている成長領域次第といえます。明確な戦略と、多くの実績を誇る三菱商事だけに期待できるのではないでしょうか。