ぶりに更新。牽引役となる半導体関連銘柄ですが、本投稿では中でも注目を集めている半導体素材メーカーを工程ごとにまとめていきます。
半導体デバイスこそインテルやサムスンを筆頭に海外勢が主力の中、半導体素材メーカー、半導体装置メーカーは未だ世界をリードする存在。
特に半導体素材メーカーは世界シェアの約半分を日本企業が占める得意産業。ただ、素材メーカーはいろんな会社がありすぎて、「どこが半導体向けの素材を手掛けてるのか分からない!」という方はぜひご覧ください。
半導体の製造工程をざっくり分けると上図の4プロセスに分けることができます。プロセスごとにより詳しく見ていきます。
ざっくり3工程に分けて説明します。より工程の詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
イラストは長野電子工業のHPが分かりやすかったので、こちらの画像を引用しています。
引き上げられたインゴットをスライスマシンやワイヤソーマシンなどを活用して薄く切断する。
トクヤマなどが製造する多結晶シリコンを原料に、信越化学やSUMCOがシリコンの結晶(単結晶)を製造。それをカットすることでウエハとなります。
多結晶シリコンは海外勢が優勢ですが、国内では唯一トクヤマが活躍しています。
切断されたウエハですが、厚みを均一にするため研磨(ラッピング)を行う。
研磨の工程で使う液体研磨剤のことを「スラリー」と呼びます。スラリーの主要メーカーはCMCマテリアルズ(アメリカ)、デュポン(アメリカ)などの海外勢から上記の日本企業も活躍しています。
ウエハの洗浄液に浸しウエハを洗浄。その後、目視にて検査を行う。
半導体の洗浄、乾燥に適しているイソプロピルアルコール(IPA)もトクヤマが担っている材料です。
フォトマスクの製造自体はTOPPAN(7911)や大日本印刷(7912)を中心にHOYA(7741)など日本メーカーが多く活躍。以下の工程を経てフォトマスクの製造を行います。
半導体チップ上にどのような回路を描くかの設計・シミュレーションを行い、パターンの設計を行う。
フォトマスクの表面にレジストを塗布し、電子ビームを用いて回路パターンを描画する。
フォトマスクの元となる「マスクブランクス」の製造を行うのがHOYAとAGC。そのマスクブランクスからフォトマスクを製造していくのがTOPPAN、大日本印刷になります。
マスクブランクスの中でも最先端のEUV露光に必要なEUVマスクブランクスを得意とするのがAGC。フォトマスクのシェアはTOPPANと大日本印刷で約5割を占めると言われています。
AGCはスラリーといい、意外にも半導体事業に積極的に進出してますね。
フォトマスクの欠陥を検査する。
半導体製造工程の中でも最も市場規模が大きいとされるのが前工程。日本にも東京エレクトロンを中心に多くの優良企業がいますので早速確認していきましょう。
※画像は菅製作所のHPから拝借しています。
ウエハを高温の炉の中で酸化性雰囲気にさらし、表面に酸化膜をつける。
ウエハの表面にさまざまな材料の薄膜をつける。
日産化学はARCと呼ばれる「反射防止材」でアジアのシェア7割を握っています。
フォトレジストといわれる感光剤をウエハ表面に均一に塗る。
フォトレジストは世界シェアの9割を日本企業で担っている得意材料。中でもJSR、東京応化工業が強く、次点で信越化学、住友化学、富士フイルムと続きます。
東洋合成はフォトレジストを作るのに必要なフォトレジスト用感光性材料で世界シェアトップを誇り、信越化学などに材料を供給しています。
東洋合成は売上300億円強の小型株ですが、5年で株価7倍に成長しています!
フォトマスク、レンズを介してウエハ表面に光を照射。回路パターンを焼き付けた後、不要なフォトレジストを除去する。
微細化が進む中、エキシマレーザと呼ばれる光源を作れるのは世界に2社のみ。そのうちの1社が小松製作所傘下のギガフォトンです。
形成されたパターンに沿って酸化膜・薄膜を削り取る。
ガスを用いたエッチングを「ドライエッチング」、液体を用いたエッチングを「ウェットエッチング」と呼びます。ここでは細かい違いの言及は避けますが、2パターンあってそれぞれ担う材料メーカーが異なる点をご認識ください。
残っているフォトレジストを剥離し、薬液に浸して不純物を洗浄する。
イオンを注入することで半導体の電気特性を変化させる。
ウエハの表面を研磨し、パターンの凹凸を平坦化する。
ウエハ表面に電極配線用のアルミ金属膜を形成する。
ウエハの検査を行い、良品・不良品の判定を行う。
前工程に比べると市場規模こそ劣りますが、前工程の微細化が限界と言われる中、次世代技術として「チップレット」「3次元実装」など後工程にも注目が集まりつつあります。
※画像は日本半導体製造装置協会のHPから拝借しています。
ウエハを薄く、平坦にする加工を行う。
ここでも研磨剤(スラリー)メーカーが活躍します。
ウエハをダイヤモンドブレードで切断し、チップごとに切り分ける。
ウエハのダイシングを行う際、位置決めや表面保護の目的でテープを使用します。そのテープの製造を担っているのが上記のメーカーとなります。
チップをリードフレームに固定する。
リードフレームとチップを極細のワイヤーで接続する。
セラミックや樹脂などのパッケージに封入する。
電気的特性検査、外観検査などで良品・不良品判定を行う。
いかがでしょうか?私自身まだ知らない部分もあるので、分かり次第随時アップデートしていきたいと思います。詳しい方いましたら、ぜひコメントなどで教えていただけると嬉しいです!
個人的には前工程、後工程と幅広く展開しているレゾナック・ホールディングスが気になりましたので分析しています。気になる方はぜひご覧ください。
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