24/3期は減益予想も比較的高いROEを誇る半導体・電子部品商社のミタチ産業。それにも関わらず、株価は割安に評価されている同社の強みやリスク、将来性について考察していきます。
1976年設立、半導体・電子部品を中心としたエレクトロニクス専門商社。
本社は愛知県名古屋市に構えており、主要取引先はアイシングループ、ブラザー工業など地場のメーカーが多く、古くからの付き合いが強みの源泉。
フィリピンの現地子会社にて情報機器端末の受託生産を行うなど、製造機能も一部持ち合わせています。
東芝デバイス&テクノロジーが保有しているデンソーに係る販売商流をミタチ産業へ移管。今後はミタチ産業がデンソーへの販売窓口となると予定です。
アイシン、デンソーなど地場メーカーとの結びつきの強さを感じますね。
海外比率は3割強。中でも中国の占める割合が高くなっています。
コロナ禍でのサプライチェーンの混乱による半導体需要などを背景にここ数年は利益率が大幅上昇。24/3期はその反動減もあり、減益予想となります。
ROEは波があるも8%超えてる年が多く収益性は高い。ただ、資本政策に関する言及はほとんど行っておらず、資本コストを意識した経営も「検討する」にとどめています。
現中経は今期が最終年。新中計でこの辺に言及するか期待!
有利子負債以上に現金を有しており実質無借金経営。その他いずれの指標も全く問題ありません。
安定的な配当に配慮するとともに業績に裏づけされた利益配当を基本とするとしています。具体的な目安として連結配当性向は30%程度と公表しています。
23/3期の記念配当(10円)を差し引いても24/3期は減配となります。
ここ10年自社株買いはほぼ行っていません。
マクニカなどPBRが2倍を超える銘柄もある半導体商社ですが、ミタチ産業と同規模の小型銘柄はいずれも割安水準。商材を持たない商社だけに、今後の競争激化も懸念されていると考えられます。
仕入先との販売契約(例:伯東)など、熾烈な競争が繰り広げられています。
ネットネット株については以下をご参照ください。
直近の決算短信と2024/02/28時点の時価総額でネットネット株指数を計算すると以下となります。
※1億円以下切り捨て
ネットネット株指数は0.82と基準の1を大きく下回っており、かなり割安で評価されていることが分かります。
ネットネット株の中では業績も堅調な銘柄!きっかけ次第で大化けもあり得ると考えています。
直近一年は日経平均を大きくアンダーパフォーム。特に24/5期予想(大幅減益予想)を公表した7月頃から株価が大幅に下落。その後、上方修正をするも軟調な展開が続いています。
アイシングループをはじめとした自動車産業への依存度が高く、自動車産業の需要やアイシングループとの取引状況に影響されることはリスクと考えられます。
また、販売先だけではなく仕入先との契約も重要。ミタチ産業の場合は東芝グループが主要な取引先であり、こことの商流が変わったりすることがあれば伯東のように影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。