生成AIブームを筆頭に株価が好調な半導体関連銘柄の中において、やや出遅れ感のあるルネサスエレクトロニクス。注目のAIやデータセンター向けの比率が低いことがその理由だと考えられます。
今回はそんなルネサスエレクトロニクスの注目すべきポイントや企業の詳細について考察していきます。
車載マイコンで世界トップクラスの半導体メーカー。三菱電機および日立製作所から分社化したルネサステクノロジとNECから分社化したNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年に設立された企業です。
車載向けに強く、今後はパワー半導体向けなどを強化していく方針。M&Aで積極的に事業展開を行なっています。
直近もTransphorm社を買収し、GaN技術の獲得を目指すなどパワー半導体で世界と勝負できるか注目
データセンターやAI向けなどの今流行りのテーマが占めるシェアは全体の2〜3%。自動車向けでもADASやEV向けは自動車全体の15%前後と高くありません。
昨今のAIブームの恩恵は少なく。先端というよりは旧式の半導体が中心ですね
海外比率は約75%と高く、為替の効果は大きいです。
21年8月に買収が完了したDialog社の連結効果や円安効果に加え、自動車向けが伸長したことにより22/12期に大幅増収増益。23/12期もIoT向け不調も、自動車向けの好調が継続。
24/12期予想は非公表。1Q終了時点では前期比大幅減益とやや厳しいスタートに
業績の上昇に伴い、株主還元も徐々に行なっていく方針ですが、M&Aを中心とした戦略的な投資を行なっています。自社株買いと戦略投資をバランス取りながら行なっていく方針。
資本政策に期待というよりは業績次第と言える銘柄です
2010年代前半から財務は良化傾向。M&Aで大きな支出が時よりありますが、ここ2年連続2000億円超えのフリーキャッシュフローを稼いでおり、自己資本比率も60%超えと高水準。
強靭な財務体質を目指しつつ、継続的かつ安定的にその利益の一部を還元することを基本方針としています。これまでは経営環境が不安定であり無配が続いていましたが、23/12期は配当を再開予定。
22年6月、23年4月の2回にわたって自社株買いをするなど、成長投資優先ながら株主還元も徐々に行なっています
2024/05/07を起点とした直近1年のパフォーマンスは上図の通り。日経平均をアウトパフォームしているものの、好調な半導体銘柄の中では上昇率はさほど高くないと言えます。
実績PERも13倍と他半導体メーカーと比較しても過熱感はさほどありません
昨今の半導体ブームの火付け役は「生成AIブーム」によるものが大きいですが、前述の通りルネサスエレクトロニクスはAI比率が低いです。同じく注目のデータセンター関連と合わせても全体の2〜3%と軽微であるため、株価の上昇率も限定的だと考えられます。
パワー半導体とかの注目度が高まれば期待値も上がるかと。ただ、競争も熾烈なので動向には注目です