政府からの支援や政府クラウドへ認定されたことを追い風に株価急騰のさくらインターネット。足元では大きく調整する場面も見られますが、投資妙味はあるのか?について考察していきます。
大阪府大阪市に本社を構えるインターネットサービス事業者。自社でデータセンターを有し、クラウドサービスを主に展開しています。
Amazon、Google、Microsoftなど海外のメガクラウドが強い中、国内の代表的なデータセンター事業者としてのポジションを築いています。
ただ、資金力豊富な米大手が圧倒的な世界シェアを誇る市場でもあります。
海外比率は10%未満のため詳細は公表していません。基本的には国内が主戦場となります。
コロナ禍のDX需要拡大により21/3期にかけて業績上昇。その後、政府系大口案件の契約終了などもあり、ここ数年は伸び悩み。米メガクラウドが順調に業績を伸ばす中、苦戦を強いられています。
圧倒的な資金力で設備投資を進めていた米大手と比べると、技術力の差は否めません。
資本政策に関する取り組みに関しては特に言及がありません。
有利子負債の他にリース債務(約56億円)も抱えているため、自己資本比率は低め。流動比率が低いのは前受金(流動負債)が高いからです。盤石な財務というよりは成長投資フェーズと考えられます。
持続的成長と安定した収益体質を実現しつつ、株式価値の向上と安定配当の継続を両立させたいと考えているとしています。19/3期、23/3期と自社株買いも実施しています。
配当利回り見て分かるように、配当目的の投資には不向きです。
期末と中間の年2回500円分のQUOカードを贈呈しています。詳細は会社HPをご確認ください。
直近1年のパフォーマンスは上図の通り、10倍以上の急成長を遂げています。一方で足元は急落する場面もあり、仕手株ではないかという見方もされています。具体的な上昇/下落の理由は以下の通りです。
AI関連などで顧客からの引き合いが増えていることを受け、米エヌビディアからGPUの調達など総投資額130億円を投じてクラウドの整備を急ぐ同社に政府も支援。
費用の半分は経済産業省から支援を受ける見通しであるとし、政府支援のもと需要拡大が見込まれるAI関連需要の取り込みに期待が集まったのが2023年夏頃の話です。
調達が困難と言われるGPUですが、政府がエヌビディアのCEOと会談するなど全面バックアップしてます。
2023年11月にはさくらインターネットが「ガバメントクラウド(政府クラウド)」に国内企業で初めて認定。2025年度末までに技術要件を満たした上でサービスを開始するよう、政府から求められています。
これまではAmazon、Google、Microsoft、Oracleの米4社が選ばれていましたが、経済安全保障の観点で国産クラウドに白羽の矢が立った形となったことで、さらなる需要の拡大に期待が集まりました。
ただ「技術要件を満たした上で〜」とあるように、まだ見通しが立ったわけではないんですね。
特に下落につながる大きなニュースがあったわけではありません。短期的な需給で株価は急騰していましたが、実態以上の過熱感に株価が見直されたと考えられます。
一方でPERは300倍を超える状況は少し異常という声も少なくありません。政府の補助もありますが、米大手の投資額と比べると影響度合いには疑問符も残ります。
個人的にはこのタイミングでさくらインターネットへの投資検討は無しだと考えています。