【INPEX】黄金株への投資で知っておくべき安心材料と不安材料とは?
原油高を好材料に株価上昇や、業績予想の上方修正など良いニュースの多いINPEX。今回は、そんなINPEXに投資をする上で知っておくべき安心材料と不安材料に関してまとめています。INPEX株を持ってる人、INPEXや石油関連株が気になってる人はぜひご覧ください。
日米高配当株投資を中心に投資歴は5年目を迎え、年間配当金は30万円オーバー。保有銘柄の評価益はプラス40%超。
数字(業績)だけの分析だけではなく、コンサル時代の経験も活かした事業分析や考えうるリスクなど、独自の視点で解説してます!
会社概要
主要株主は経産大臣
調べると経緯は複雑ですが、「国際石油開発」と「帝国石油」の2社が派生してできた企業。2021年に「INPEX」という社名に変更し、今に至ります。
「国際石油開発」は元々国策会社として設立された企業。「INPEX」も筆頭株主は経済産業大臣にあたり、エネルギー安全確保の面から、黄金株を発行しながらも唯一東証への上場が認められています。
石油生産の上流
石油関連企業というと、ENEOSや出光石油など石油の元売りを主としている企業を思い浮かべますよね?石油の元売りは、上図で言うところの下流にあたります。一方でINPEXは上流にあたり、資源国での開発権獲得から生産をメインの事業としています。
日本でこの上流を担うのは、主にINPEXと石油資源開発(JAPEX)の2社となります。
天然ガスも
INPEXの売上高は、石油の素となる「原油」と「天然ガス・LPG」に分けられます。
日本の年間エネルギー消費量の約1割に相当する生産量をINPEX社が担う。国別の売上比率は中東・アフリカの売上高が半分を超える。これだけ海外比率が高いので、為替の影響はかなり大きいです。
過去10年業績/財務/配当
営業利益率のからくり
INPEXのビジネスモデルは、他国で原油を生産する代わりに、その国に対してライセンス料を支払うというものです。このライセンス料は税金という扱いになっているため、営業利益には反映されていません。そのため、見かけ上営業利益は非常に高くなっており、その分は当期純利益には反映されているのです。
前期と今期は原油価格の上昇及び、為替(円安)の影響もあることで大きく売上が上昇。油価1ドル変動すると60億円(期初時点)、1円為替が変わると32億円の影響が出るとのこと。
EPS、ROEは当期純利益をもって計算されますので、先述の税引後の値になります。営業利益率の割にROEが高くないことが分かりますね。
現金の少なさだけ気になる
自己資本比率は60%あり、有利子負債比率も33%と安全ライン。総資産が6兆円超える中、現金が2000億円というのは少ない気がするのはちょっと気になります。
高配当も株高
今期も期初から増配予想でしたが、期中にさらなる増配を発表。昨今の原油高、円安が追い風に進んでますね。株主優待として、QUOカードの贈呈もあります。
配当利回りは調査時点(2023/10/02)で3.33%。これまで4%超え常連だっただけに、いかに今は株価が高くなっているかが分かりますね。参考までに、以下株価の推移です。
不安材料
原油価格次第
原油価格は2000年以降で、最高値:133.7ドル、最安値:24.7ドルと非常にボラティリティが激しいです。INPEXはこの影響をダイレクトに受けますので、良い時もあれば悪い時もあると覚悟が必要です。
ロシアウクライナ問題や、OPECプラスの方針にも左右されるなど、コントロールが効かない部分なので、こればっかしはどうしようもないですよね。
代替エネルギー
ご認識の通り、再生可能エネルギーへの移行が進むとみられます。原油需要が落ち込むことを見越し、天然ガスにも力を入れておりますが、中長期的に見ると天然ガスも再生可能エネルギーに変わっていくとなると、業界再編は否めません。
安心材料
配当下限維持
2022年度から2024年度の中期経営計画にて、1株あたりの年間配当金の下限を30円に設定するとのこと。今の株価(2,256円)で配当利回り1.3%は最低限保障されるため、原油の暴落などがあっても、いきなり配当が0になることはなさそうです。
また、総還元性向を40%目指すとのことで、配当だけではなく自社株買いの恩恵などを受けられる可能性もありそうですね。
まとめ
- INPEXはエネルギー安全確保の観点から、政府が筆頭株主の企業
- 資源国にて原油等エネルギーの開発(川上)業務を行う
- 昨今は原油高、円安の影響で業績が大きく伸長
- 配当も上昇基調で、下限配当も設定されるなど、高還元銘柄
- 外的要因や将来的な需要減もあり、注意は必要
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