NCAV、ネットネット株とは?バリュー株投資家必読の財務指標を解説
2024/2/22に日経平均がバブル時の最高値を更新。一方で株価が高騰している銘柄が多く、このタイミングでは買える銘柄が無いという声も聞こえてきます。
そんな中でもNCAVを活用したネットネット株への投資は比較的ローリスクミドルリターンな投資法として有名であり、今回はその投資法とは何かについて解説していきます。
- NCAV(ネットネット株)について知りたい
- 企業の割安を図る指標の考え方を学びたい
NCAVとは?
1-1:割安かどうかを図る指標の一つ
NCAVとは「Net Current Asset Value」の略称。1930年代にベンジャミン・グレアムによって提唱された指標であり「正味流動資産価値」と和訳されます。企業価値が割安かどうかを図る財務指標の一つとされています。
つまりNCAVはグレアムが企業の割安度(バリュー株か否か)を図るために提唱された指標です。
1-2:NCAVの求め方
NCAV(正味流動資産価値)は以下の式で求めることができます。
正味流動資産=流動資産−総負債
ベンジャミン・グレアムの著書「賢明なる投資家」でも提唱されたのがこの方式となります。ネットを叩くと他にも何パターンか求め方があることが分かりますが、最もシンプルな求め方が上記となります。
1-3:ネットネット株
ではNCAV(正味流動資産)を求めてどうするのか?
会社の時価総額と比較を行い「安全域」を求めます。時価総額に対してNCAVが大きい銘柄は「安全域」が広い銘柄だと考えられるわけですが、具体的には
NCAV(正味流動資産)× 2 ÷ 3 > 時価総額
この条件を満たす株を「ネットネット株」と呼びます。つまりNCAVが時価総額の2/3以上を占める銘柄こそ「安全域」の広いバリュー株という考え方になります。
ローリスクミドルリターンな投資手法として雑誌なんかでも特集されてたりしますね。
狙うべきネットネット株
2-1:ネットネット株であればなんでも良い?
割安株が多いとされる日本企業には数百社のネットネット株があります。持っている資産に対して割安とは言え、株価上昇の「きっかけ」がない限りは万年割安銘柄として放置されてしまうことも考えられます。
では、その「きっかけ」とは?
2-2:期待できるネットネット株とは?
きっかけとして以下などが挙げられます。
- 株主還元の強化
- 業績の再評価
- テーマの注目
①株主還元の強化
①はまさに東証のPBR改革により旬なテーマです。中期経営計画の更新タイミングや、競合他社が株主還元方針を大幅に変更したなど、より注意深くIR資料を見ることでヒントが見つかるかもしれません。
②業績の再評価
投資家が想定していた業績に対してプラスのサプライズがあった場合、株価も再評価される可能性があります。四半期ごとの業績推移を確認しながら、変化点をいち早く気づくことができればベストですね。
③テーマの注目
国策として注目されるなど、その企業が行う事業テーマに注目が集まることで一気に株価が見直される可能性があります。トレンドや社会情勢の変化にアンテナを貼り続けることが重要です。
③を予測するのは難しいため、実際には①、②に該当する銘柄を探すのが現実的なアプローチかと。
2-3:ネットネット株指数とは?
ネットネット株指数とは時価総額に対するNCAV(正味流動資産)の割合であり、以下の計算にて求めることができます。
時価総額 ÷ 正味流動資産
計算の結果が1を下回ると時価総額より正味流動資産が上回っているということであり、割安であると判断することができます。
2-4:代表的なネットネット株
富士精工(6142)は代表的な割安株であり、そのNCAVを確認してみます。
24/2月期第3四半期決算短信から流動資産を確認します。
次に総負債を確認します。
これらの数値を用いてNCAVを求めると以下となります。
17,990,133-4,461,955=13,528,178(千円)
上記の計算により約135億円と求められます。それに対して、2024/02/25時点での時価総額は72億円と明らかに割安であることが分かります。
富士精工が投資対象としてどうかについては以下をご参照ください。
まとめ
- NCAVとは割安株を探すための財務指標としてグレアムが提唱したもの
- NCAV×2/3の値が時価総額を超えた株を「ネットネット株」と呼ぶ
- 下値が限定的なのでローリスクミドルリターンな投資法
- 株価上昇の「きっかけ」が起こりやすい銘柄を探すことで成功確率が上昇
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