【三菱重工】株価上昇後一転下落の理由とは?2024年大注目の銘柄を考察
年初から一貫して株価上昇で、2024年に入って株価2倍以上に伸長の三菱重工。ただ、7月中旬には株価上昇の過熱感や、川崎重工の問題をきっかけに一転して株価が下落しています。今回はその背景や詳細について考察していきます。
三菱重工会社概要
三菱グループの重工業メーカー
三菱グループ(旧三菱財閥)に属する重工業メーカー。三菱UFJ銀行、三菱商事とともに三菱グループの「御三家」に位置します。
川崎重工業、IHIとともに日本の三代重工業の一角であり、売上規模は首位。世界トップシェアの事業も有しています。
事業ポートフォリオ
- エナジー
- 火力・原子力・風力発電システム、航空機用エンジン、コンプレッサ、排煙処理システム、舶用機械等の製造・販売
- 物流・冷熱・ドライブシステム
- 物流機器、ターボチャージャ、エンジン、冷熱製品、カーエアコン等の製造販売
- プラント・インフラ
- 製鉄機械、商船、エンジニアリング、環境設備、機械システム等の製造販売
- 航空・防衛・宇宙
- 民間航空機、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、特殊車両、特殊機械(魚雷)、宇宙機器等の製造販売
主力のガスタービン(火力発電)は脱炭素で好機?
火力発電で使われるガスタービンの製造メーカーとして、三菱重工業を始め、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独シーメンスが世界三強。中でも、三菱重工業はガスタービン世界市場(出力ベース)でトップシェアを誇ります。
カーボンニュートラルの観点より、化石燃料を用いた燃焼方法から水素を用いた燃焼方法への移行が注目。その水素を用いた燃焼技術で三菱重工業は先を行っており、今後の大きなビジネスチャンスとなる可能性が高く注目です。
フォークリフト事業は世界トップクラス
フォークリフト事業では2010年代に旧ニチユやユニキャリアなど、国内競合企業を相次いで買収。同業界では豊田自動織機、キオン(ドイツ)に次いで世界シェア3位を誇ります。
航空事業はスペースジェットから撤退も
直近では、小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退が議論を呼んだが、その他航空宇宙分野におけるリーディングカンパニーであるボーイング社とパートナーシップを結ぶ。
海外比率
海外比率は約6割。主に物流・冷熱・ドライブシステムの海外比率が高く、7割以上を占めます。その他事業もアメリカやアジアを中心に満遍なく世界に展開。昨今の円安も好業績につながっています。
三菱重工過去業績
売上/営業利益率
業績上昇理由
航空機エンジンの不具合対応で損失生じるも、今期は最終利益で過去最高益の予想。フォークリフトの値上げ効果や、円安などが業績を押し上げる要因になっているとしています。
EPS/ROE
企業価値向上に向けたROAの向上を一つの目安にしており、23/3期末の3.36%から6%まで引き上げ、さらにはROE11%を目指すとしています。
プロジェクトの単位が大きいだけに、アップダウンが結構激しいのは重工業メーカーの宿命です。ただ、他社よりは安定的!
自己資本比率/キャッシュ
- 有利子負債比率:16.89%
- 有利子負債額:0.38兆円
- 現金等:4313億円
財務の健全性は?
自己資本比率は多くの設備投資を要する産業だけに業界全体で低調。ただ、同業他社比では財務指標はいずれの指標も高く、及第点と言えます。
配当/配当性向
- 配当利回り:1.17%
- PER:27.40倍
- PBR:2.81倍
- 株主優待:なし
安定した配当目的(高配当株投資)には不向き?
長期では上昇トレンドですが、業績に応じてアップダウンがある銘柄です。安定して配当を貰いたいという方には不向きと言えます。
三菱重工株価推移
2024/07/10までの年初来パフォーマンスは上図の通り。年初から一貫して上昇が続いており、すでに年明けから2倍以上に伸長。ただ、足元では株価が下落しており、上昇理由・下落理由は以下の通りです。
株価上昇理由
- 好調な業績
- 防衛関連銘柄としての期待
- 株式分割
好調な業績
24/3期予想は10期ぶり最高益予想を見込んでおり、期初から業績への期待から株価上昇。その後も四半期決算ごとに順調な決算を発表したことや、将来の売上につながる受注も堅調であることが伝わり、年間を通じて好調に推移しています。
防衛関連銘柄としての期待
防衛関連予算を増額させるとの思惑から、防衛関連株である三菱重工に注目が集まったことも一因と考えられます。特に2023年11月に行われた防衛事業説明会の内容や「政府がパトリオットを米国に輸出」などのニュースに反応し、株価が大きく上昇しています。
株式分割
2024/3/27を基準日に株式を10分割することを発表。株価が下がったことで個人投資家も買いやすくなり、足元では株価が上昇しています。
これらの要素が重なり合って、上場来高値を大きく更新しています。
株価下落理由
7月8日まで11連騰するなど急上昇が続いていた同社ですが、7月10日には一転して6%超の下落。川崎重工の金品提供問題をきっかけに、過熱感が出ていることも理由に株価が上昇したものと考えられます。
潜水艦の修理を担う企業が三菱重と川崎重工業の2社が中心であることから、悪材料が出る懸念が広がったのでは無いでしょうか
三菱重工まとめ
- 24/3期は10期ぶりの最高益予想
- 世界トップシェアのガスタービンや、国策銘柄の防衛事業に注目
- 業績、配当ともにアップダウンがあるため、安定配当目的には不向きな銘柄
- 好調な業績、防衛関連としての注目、株式分割などを理由に株価大きく上昇
- その後過熱感や川崎重工の問題もあり、一転して下落
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