【商船三井】安定配当目的には不向き?株価上昇の理由と投資妙味について解説
配当利回り4%超の高配当銘柄として新NISAでも注目を集めている商船三井。株価/業績の変動幅が大きいことで知られる海運業ですが、どのような点に注目すべきか含めて考察していきます。
- 商船三井への投資判断に悩んでいる
- 海運銘柄への投資を検討している
商船三井会社概要
三大海運会社の一角
1942年(昭和17年)設立の大手海運会社。日本郵船、川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の一角に数えられます。23/3期の売上、利益ベースでは日本郵船に次ぐ2番手に付けています。
強み・特徴
LNG輸送やエネルギー事業においてのポジション優位性が世界的に見ても高いです。
事業ポートフォリオ
- ドライバルク事業:保有するドライバルク船による海上貨物輸送
- エネルギー事業:石炭輸送船やLNG船等による海上貨物輸送
- 製品輸送事業:自動車専用船での海上貨物輸送、コンテナ船事業等
- 不動産事業:土地建物賃貸事業及びビル管理事業
- 関連事業:客船事業、曳船業(タグボート)、商社事業
- その他:船舶管理業、グループ資金調達業、コンサルティング業等
市況享受型事業
ドライバルク事業、自動車船事業、コンテナ船事業は契約期間が比較的短く、ボラティリティの激しい海運市況との連動性が高い、市況享受型事業と位置付けています。
安定収益型事業
一方の非海運事業(海洋事業、不動産事業)や低・脱炭素エネルギー事業などを安定収益事業と位置付け、今後比率を高めていく狙いがあります。
市況享受型事業はボラが激しいから、いっときの売上シェアはあまり参考にならないです。
海外比率
※売上高は計上会社の所在地を基準として分類されています。
商船三井IR
売上/営業利益率
業績上昇/下落理由
22/3期以降、世界経済の回復に伴うに動きの増加により業績が急回復。また、中東リスクにより運賃上昇なども近年の業績を押し上げる要因となっています。
外的要因が大きいビジネスですので、安定業績を求めるのは難しいですね。
EPS/ROE
資本コストを上回るROEを継続的に実現し、株主価値を高めていくことを意識しつつ、商船三井ではROAとROA資本コストを用いた管理を行うとしています。
資本政策への意識は高いですが、どうしても業績次第という側面が強いです。
自己資本比率
- 有利子負債比率:57.32%
- 有利子負債額:1.1兆円
- 流動比率:65.5%
好業績によりここ2年は自己資本比率急上昇。海運3社比で見ると指標はやや低め。JCRが行う格付けではA+(安定的)と位置付けられています。
配当/配当性向
- 配当利回り:4.00%
- PER:7.70倍
- PBR:0.79倍
- 総還元性向:25.4%
- 株主優待制度:あり
株主還元方針/配当方針
2023年度から2025年度までの新たな株主還元方針として、配当性向30%(前年度は25%)と一株当たり150円の下限配当を採用しています。
正直安定配当には不向きですが、下限配当150円は2021年以前の水準を見るとかなり魅力的。
自社株買い
自社株買いの定期実施を約束はしておらず、資本が想定以上に積み上がった場合に「都度判断」と位置付けています。
株主優待制度
中長期的に保有してもらうことを目的として、自社で展開するクルーズやフェリー事業にちなんだ各地の名産品等(3000円相当)をラインナップしたカタログが贈呈されます。
詳細は公式をご確認ください。
商船三井競合比較
PER/PBRの割安度
全社比、競合比で見てもPER/PBRは割安水準。
商船三井株価/将来性
株価上昇理由
直近1年は日経平均をアウトパフォーム。2024年に入り、新NISA銘柄としても注目が集まっており、株価が大きく上昇しています。
配当利回りが注目の理由と考えられますが、不安定なだけに安定配当には不向きです。
リスク
海運市況に大きく影響を受ける銘柄だけに市況次第という側面は拭えません。ここ数年は恩恵が大きいですが、中長期で見た場合には逆も然りですので、海運市況の悪化が最大のリスクと考えられます。
商船三井まとめ
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